●引っ越しの準備、引っ越し、その後の重労働の蓄積のせいか、いきなり腰痛がきた。立って、歩いている分には何ともないのだが、腰を曲げようとしたり、しゃがもうとしたりすると痛みがはしる。水平方向の運動は通常速度なのに、垂直方向の運動が混じると急にスローモーションのような速度になってしまう。坂道は平気だけど階段はちょっとつらい。
●近所にあるツタヤをのぞいてみたのだけど、イマイチで冴えない感じだった。フロアを見て感じたのだが、このレンタル店の主力コンテンツは映画ではなく、韓流を中心とした海外テレビドラマで、次がキッズものを含むアニメや特撮ヒーローもので、映画は三番目くらいなのだなあと思った。それはもしかするとこの店舗に限った話ではなく、一部特殊な地域(店舗)をのぞいて基本的にみんなそうなのかもしれない。「映画」の地位低下は深刻なのかもしれない。ただ、だからアニメの品ぞろえはまあまあなのだった。
(でも、「良品発掘」のラインナップはけっこう渋い。)
●新作の棚からカンで選んで借りたアニメを観はじめてすぐ、オープニングタイトルのところで、ホラー小説が原作とわかって後悔した。今までのぼくの経験だと、ラノベ以外の小説が原作のアニメが面白かったことは一度もない。それでも、SFであればまだ、アニメとしての独自の面白さはなくても退屈ではない程度の出来だったりもすることがあるけど、ホラー小説やミステリとアニメの相性はかなり悪いと思う(このことは、いわゆる普通のエンターテイメント系の小説とラノベやアニメが、発想から表現の組み立てから、根本的にまったく別物であることを示してもいると思う)。
アニメで、やはり一番期待できるのはオリジナルの作品で、原作があるとすればゲームかラノベがアニメには合っているように思う。コミック原作も、まあ、面白いものがまったくないわけではない。でも、エンターテイメント系の小説が原作となると(いろいろ工夫しているのはわかるし、かなりがんばっている完成度の高いものもないわけではないけど、それでも)どうしても小説のお話をアニメの技術でなぞっているという感じに見えてしまって、アニメとしての表現にまで達するのが困難であるように見える。リアリティの元になるもの(根に置くもの)が違っているのだと思う。
DVD三本、六話分借りてきたのだが、二話まで観て、面白くないので観るのをやめてしまった。
●で、それはやめて『偽物語』を五話まで観たのだが、これがもうスカスカで、なんというのか、主人公(男)と複数のヒロインそれぞれとのキャラに応じたエロシチュエーションの設定だけ先にあって、「物語」はたんにそれを単線的に順番につないでいるだけみたいになっている。これはいくらなんでも弛緩しすぎていると思うのだが、その一方で、ではまったくつまらないのかと言えばそうではなく、面白いとはいえないとしても、決してつまらないわけではないと感じてしまう。
空疎な内容、空疎なモノローグ(うざい自己言及)に、やたら手数が多いだけの空疎な技法(意匠)がのっかっているだけの、本当にむなしく何もない作品なのに、しかしそれでも、この前に書いたホラー小説が原作の新作アニメよりはずっと「アニメの面白さ」に触れ得ている感じがする。むしろ、内容が空疎であればあるほど活き活きする、みたいな感じさえある。これはいったい何なのだろうかと思うだが(ぼくは決して「シャフト」好きなわけではない、『まどかマギカ』はあまり好きではないし)、一ついえるのは、アニメは物語を(少なくとも常識的な意味での「物語」を)語るのには決して適したメディアではないのだということだろう(それでもなお物語を語ろうとするならば、幾原邦彦みたいなやり方になるのではないか)。
●五月に撮った写真。もうちょっとだけ(その三)。