●人は、宇宙人好き系の人と幽霊好き系の人に分けられる、ということを以前に書いたことがあるのだけど、それとはまた別の次元で、ゾンビ好き系の人と自動人形好き系の人との違いもあるように思う。宇宙人好き系/幽霊好き系というのは、その人にとっての「超越性」の構成のされ方の違いで、ゾンビ好き系/自動人形好き系というのは、「心身問題」の構成のされ方の違いなのだろうと思う。
自分について言えば、ぼくはゾンビにはあまり惹かれない。ロメロの「ゾンビ」は映画として面白いけど、ゾンビという形象に対して大した興味は持てない。ゾンビというイメージよりも、機械的な自動人形のようなもの(ホフマンの「砂男」のような)の方を面白く感じる。あるいは、趣味としてオカルト的なものが好きで、ホラーも大好きだけど、スプラッタ的な表現にはまったく興味が向かわない。
機械的な自動人形の系譜の表現は、当然、人工知能やアンドロイドなどへの興味と繋がるのだが、他方、それを延長してゆくとリンチの作品へも繋がってゆくと思う。
まあでも、リンチにしても初期の『イレイザーヘッド』や『エレファントマン』、あるいは『デューン 砂の惑星』くらいまでは、ゾンビ=スプラッタ的な傾向もあるのだけど、『ブルーベルベット』以降はそうではない方向へ行く。『イレイザーヘッド』と『ブルーベルベット』の間には大きな断層がある---勿論、連続するものもあるが---と思う。
とはいえ、最近やたらと流行っているように思われる「ゾンビ映画」をほとんど観ていないので、この話はこれ以上ひろがらない。