●昨日の繰り返しになるけどガタリの共立平面の四つの区域について、現実的−可能的(非連続的−連続的)という縦軸を、地−図の軸とし、実在的−潜在的(関係的−自己準拠的)という横軸を、多−一の軸として考えると、美術作品について考える時の助けになりやすいんじゃないかと思う。




●ここに『機械状無意識』を繋げてみる。
「機械…」では、語用論的な、意味作用を構成する成分が(1)解釈的成分と(2)非解釈的成分に分けられる。(1)は通常の言語モデルで考えられる記号学精神分析など)によって捉えられるものだが、(2)はそれでは捉えられないものとされる。そして(1)はさらにA.類似的変形(イコン的記号学に属する)、B.シニフィアン的変形(言語学記号学に属する)、そして(2)は、C.シンボル的変形(強度の記号論に属する)、D.図表的変形(非シニフィアン記号論に属する)に分けられる。パースの記号論では言語はシンボルに属するけど、ここではシンボルはおそらくアルトー的な意味で強度と結び付けられる。
「機械…」ではこの四つの成分はそれぞれ同等な独立したものとして扱われる。例えば、CからAへの変形には神秘主義的なものに基づくファシスト集団(ハーケンクロイツナチス)のような例があり、BがDに対して優位になる主体においてはパラノイアタイプの領野が構成される、という風に。ここで、この四種類の記号のあり様のタイプを、「分裂…」における共立平面の四つの区域に配置してみると、おそらく下の図のようになる。




(これは意味作用だから、「分裂…」の図――昨日の二つ目の図――で、二つの円が交わっている内部でのことに限定されるだろう。)
(あるいは、図表は「Φ」の領域というより「F」と「Φ」とが接するところに、シンボルは、「T」というより「F」と「T」とが接するところにあるとするべきだろうか。あるいは、図表は「F」の内部で「F」と「Φ」との関係を表象し、シンボルは「F」の内部で「F」と「T」との通路を開く、と言うべきかもしれない。)
●上の図をさらに分解すれば、イコンとシンボルが、多項的−単項的(実在−潜在)という軸の上に配置され、シンボルと図表が、非連続的−連続的(現実−可能)という軸の上に配置されることになる。
このような配置は、おそらく「機械…」からだけではみえてこない。