●ギャラリーハシモトで観た百瀬文の新作は、2アイデアくらいでつくられた、シンプルで分かり易い作品とも言えるけど、読み込もうとすれば様々なことが読み込めそうな深みもあって、ああ上手いなあと感じた。非対称的な等価性。非対称的だが等価的である、あるいは、等価的であるが非対称的である、ようなものたちの交換、みたいな感じは、横浜美術館で観た「The Recording」とも通じる。眼科医のキャラもかなりいい感じ。
(どうでもいい話。最近「ピングドラム」を観なおしているのだけど、「痺れるだろう」というセリフのたびに、「The Recording」の小泉さんの顔を思い出してしまう。)
SCAI THE BATHHOUSEアピチャッポン・ウィーラセタクン。アピチャッポンがやっていることが、美術作品としてどこまで高度なものであるかには疑問があるが、しかしそうはいっても、あんなに美しいものをつくられてしまうと、好きにならないでいるのは難しい。いつまでも観ていたい闇と光の明滅。
●「絵画の在りか」展では、強く惹かれたり、気にかかったり、ひっかかったりする作品は見つけられなかった。工藤麻紀子の作品(オーソドックスな意味で絵が上手い=絵の具がこなれている)と、中園孔二のスクエアな大作(クレーの絵を何十枚も重ねて圧縮したような感じ)に、少し惹かれるものを感じた。