●地元の神社に初詣に行った。たぶん、二十年ぶりくらい。
はじめて、紅白歌合戦が終わるまで起きていられたのはいくつの時だっただろうか。おそらく、三年生か四年生くらいだったのではないか。紅白が終わると、コートやマフラーで厚着をして、歩いて五、六分のところにある神社へと向かうのだった。子供がそんな夜中に外に出るのは大晦日だけだ。怖いような、はしゃいだような、高揚する感じ。車の通らない、寒くて静かな道路を味わって歩いた。しかし、神社に近づくにつれてちらほらと人がみられるようになる。神社には(神社なのになぜか)鐘があり、紅白が終わるか終らないかの時間になると、もう、家にまで鐘の音が聞こえてきた。
ぼくの子供の時はみんな、年の明ける前に一度お参りを済ませて、いったん境内の外に出て年が明けるのを待ち、(大抵誰かがラジオを持ってきていて、ピッ、ピッ、ピッ、ピーンと時報が鳴り)年が明けてから再び(おめでとうございます、などと声をかけあいながら)境内に入り、初詣をするというしきたりだった。しかし久しぶりに行ってみると、多くの人が境内に入らず、鳥居の前から外に並んで列をつくって年が明けるのを待っているのだった。あー、時代は(コミュニティは)かわっているのだなあと思った。一瞬躊躇したのだけど、列を無視して境内に入り――なかには二、三人しか人がいなったけど――お参りを済ませた後、外に出で改めて列の最後尾に並んだ(以前は列などつくらずに、境内の外でバラバラに待っていたのだが、そこは今のしきたりに従った)。自治会の人(?)が甘酒とお汁粉を振る舞っていて、ぼくは甘酒をいただいた(甘酒を飲んだのも久しぶりだ)。
●十二月に撮った写真。その一。