●新アニメ。いまのところ、『おくさまが生徒会長!』『GANGSTA.』『アクエリオンロゴス』『城下町のダンデライオン』『クラスルームクライシス』『下ネタという概念が存在しない退屈な世界』『Charlotte』『ガッチャマンクラウズ インサイト』の第一話目を観た。
今期、最も大きな期待と不安を抱いている「ガッチャマン…」以外では、期待をもてそうなのは「クラスルーム…」くらいしかない感じ。ただ、絶対に最低だろうと予測していた「下ネタ…」が、案外まともであることに驚く。とはいえ、ギリギリの線をいっている感じなので今後はどうなるか分からない。
●『ガッチャマンクラウズインサイト』第一話。前作の敵は「純粋な悪意」だったけど、今作の敵は「空気(あるいは、かわいいは正義)」という感じなのだろうか。「かわいい」のようなポジティブな感情が人々を染め上げることで、その場にNOと言えない空気がつくり出される。かなり微妙で難しいところを狙っているなあと思った。
これがたんに、同調圧力全体主義批判みたいな流れになると、単純すぎて面白くないところに行き着いてしまいそうな不安はある。とはいえ、そんな単純なことにはならないだろうというような「配置の複雑さ」が一話目にして充分に示されている。だからより大きいのは、こんなに複雑な配置がちゃんと生かせるのか、過剰に難解な、あるいは破綻した作品になってしまうのではないか、という不安の方だろう。この不安はこの作品の孕む志の大きさのためであり、不安を越えてほしいという期待でもある。
たとえば、前作で生じた、はじめ+カッツェというガッチャマンと宇宙人のペアがあり、今作冒頭で、つばさ+ゲルサドラというそれと似た新たなペアが生まれたようにみえる(つばさはゲルと出会うことでガッチャマンになったような感じ)。この二つのペアは、敵対的ではないとしても相容れないように思われる。もう一方、いつの間にか政治に近づき、人々を操作的に扱おうとしているフル・フロンタル的な立場にジョーがいる。この三つの勢力はそう簡単には噛みあわないように思われる。
(ジョーの政治への接近だけでなく、パイマンが、なにげにJJを軽くみている描写などもあり、このあたりが波乱を強く予感させる。)
ルイ・ガッチャマン・首相というクラウズ陣営があり、反クラウズ側として、破壊者として、ちょろっと出てきた科学者風の人物の策略がある、という対立がありつつ、事情はそんなに単純なことではない、という展開になるのではないか。
「ユリ熊」で描かれる同調圧力は、排除を媒介としたネガティブなものだったけど、ここでは「かわいい」とか「すごくいい子」とか「感動」とか「通りのよい善意」とかいうポジティブなものを媒介としている。そうであるからこそ一層、取り扱いが難しく、たちが悪いとも言える。これを「悪意」や「心の弱さ」の不可避性で批判しようとすると、今度は(前作の視聴者の反応によくあった)「はじめウザい」みたいな、偽善者攻撃のような醜いものに陥ってしまう。その辺の感じを、テクノロジーと絡めてどのように出してくるのだろうか。
おそらく、それに染まらないであろう一之瀬はじめは、前作以上に大きな困難に対峙しなければならなくなるのではないか。「はじめムカつく」みたいな感情的な反感を、より多くの人から(登場人物からも視聴者からも)より強く受けるようになると思われる。そんななかどのようにして、最後まで、はじめを力強く肯定し切ることができるのか、という作品なのでは…と予測する。
(はじめの困難を思うと、今から胃が痛くなる感じもある。)
前作もそうだったけど、この作品は、すごく危ういもの、地雷になりかねない要素を、無造作とも言える大胆さで作品の要素のなかに放り込んでくる。前作も、細かい事を言えばツッコミどころはいくつもある。(「ユーフォニアム」のような完璧に近い作品とは真逆の)大胆なのか無造作なのか分からないヒヤヒヤさせるその感じが面白いといえる。とにかく今期は、この作品の出来不出来に一喜一憂することになると思う。
●前期からひきつづいて、『長門有希ちゃんの消失』『電波教師』『境界のRINNE』は観続けるつもり。11話以降、突然面白くなった「長門有希ちゃん…」だが、すごく面白いというよりは微妙なところを突いているという感じで、その微妙さが興味深いとは言える。14話など、あまりにオリジナルへの依存度が高すぎて、「笹の葉ラプソディ」を知らなければどこが面白いのかさっぱり分からない話だと思うのだけど、まあこれもありなのかなあと思わせる、オリジナルに対する関係のとり方に、面白い感じがないではない。「境界の…」に関しては、主役の真宮桜というキャラの造形の妙がほぼ全てなのかなあ、と思う。高橋留美子は、男性のファンタスムをひょこっと引っ掻けるようなキャラを本当に上手くつくると思う。
●『放課後のプレアデス』は、途中まではけっこう面白かったのだけど、最後の話の畳み方(最後の三話分くらい)が、あまりにもふんわりと終わらせてしまったのではないかという感じがある。科学と魔法、SFとファンタジーのどっちつかずのハイブリッドな感じを意識的に狙ってゆく(魔法の箒にのった魔女たちが、『インターステラ―』ばりのリアルなブラックホールの手前に佇んでいる、みたいな感じ)のは面白いのだけど、そのどっちつかずの感じを生かすというより、最後には本当にどっちつかずでぼやけてしまった感じがする。
●『レーカン!』、最終回はすごくよかった。
●前期は、途中で気付いた『響け!ユーフォニアム』に夢中になってしまったのだけど、もう一つ、『京騒戯画』と同じ監督(松本理恵)の『血界戦線』という作品があったということを今更気づいた。『京騒戯画』は、途中からかなり残念な感じになってしまったとはいえ、出だしはすごく面白かったので、これはちゃんとチェックしておかないといけない。