YouTubeで、2003年放送のBSマンガ夜話の『風と木の詩』(竹宮恵子)の回を観ていたら、夏目房之介が、「竹宮恵子が以前『伊賀の影丸』を色っぽいと書いていて、観ているところが全然違うと実感した」というような発言をしていて、また横山光輝か、と思った。
「また」というのは、ちょっと前に観た「浦沢直樹の漫勉」で東村アキコも、横山光輝の絵を、最小限の線でイケメンを表現している、真似したい好きな絵だ、というように言っていたから(こちらは『三国志』の絵についてだけど)。そして萩尾望都も、横山光輝の絵はよく模写して、影響をうけたと言っていた(萩尾望都は、ちばてつやを色っぽいと言っていて、それも意外だったけど)。ここ最近で、三人の女性マンガ家が、横山光輝の絵の色っぽさを語っているのを聞いたことになる。
たんに三人つづいたというだけでなく、ぼくの感じから言うと、横山光輝の絵から性的なものを感じるということがすごく意外なので、へーっ、横山光輝はエロいのか、と、意外で面白かった。
横山光輝の絵は、線が端正で清潔感があると言えるけど、判で押したような、まさにマンガ的で記号的な、ニュートラルでニュアンスの希薄な絵のように思われるけど、その、最低限に切り詰められ、記号化された線のなかから、何かにおい立つものがきっとあるのだろう。人の感じ方は聞いてみないと分からないなあ、と。
こういう話を聞けば、この絵のどういうところがエロいのだろうかと、いろいろ考えてみることが出来るけど、話を聞かないで、横山光輝の絵がもしかするとエロいという可能性があるかもしれないということは、そう思いつくこと自体が難しい。