●「ネコメンタリー 猫も、杓子も。/保坂和志とシロちゃん」が、U-NEXTで配信されていたので観た。路上(玄関先?)でごろっと横たわっている猫(シロちゃん)と、仕事部屋で原稿を書いている保坂さんとを、空のカットでつなぐというモンタージュが最初にされていた。路上のシロちゃん→空→空を見上げているような保坂さんの顔→部屋の内で原稿を書く保坂さんの後ろ姿(その前には空が見えるであろう窓がある)、というつなぎによって、家の外のシロちゃんと、家の中の保坂さんとの、すぐ近く(の空の元)にいるけど隔てられているような距離感が示されていた。
ふたりの接触ポイントは保坂さんの家の玄関前の塀だ。ここで、二人の距離を決定する主導権をもつのはシロちゃんだ。シロちゃんがより心をひらいている時、食事を差し出す保坂さんの腕が届きやすい位置にいて、より心を開いていない時、保坂さんが腕をのばしずらい(のばしても届きづらい)位置にいる。さらに心をひらいている時は、玄関前に保坂さんがつくった脚立の小屋のなかにいて、そこでは直接、手から食べ物を受け取る。同じ塀の上でも、ほんのちょっとした位置どりの違いが、その時々のシロちゃんの保坂さんへの心の開きかたを表現している。
シロちゃんの発するごく短い鳴き声から、すぐさま「ちょっとハスキー?」と感知する保坂さんのセンサーは、おお、さすが、という感じだ。