2020-01-11

テレビ東京の、『コタキ兄弟と四苦八苦』第一話。『逃げ恥』、『アンナチュラル』、『獣になれない私たち』などの脚本家、野木亜紀子の新しいドラマシリーズ。第一話の監督は山下敦弘だった。

一話完結の、軽めのシチュエーションコメディで、第一話は、人物の関係や設定や舞台の提示に、軽く一波乱加わって、終わり、という感じで、まあ、普通に面白いかなあ、とうくらいだった。一話は離婚をめぐるエピソードで、予告によれば二話は結婚式に関するエピソードのようだから、全体を緩く「結婚」というテーマが貫いているのかもしれない。

そうではないとしても、野木亜紀子という脚本家は、構造的にとても美しい脚本を書く人で、たとえば『アンナチュラル』も基本的に一話完結だが、全体を通してみると非常に綿密な構造が仕組まれていたのだから(たとえば、第三話がとても見事な反転的構造をもつ話なのだが、その第三話と最終話とが、またきれいな反転的関係になっている、など)、「コタキ兄弟…」もまた、話数が進んで行くにつれて、複雑で美しい(意外な)構造があらわになっていくという展開を期待したい。

(野木亜紀子の脚本の「構造的な美しさ」とは、海外ドラマとかによくある、視聴者の関心を引きつけ続けるための「上手な脚本マニュアル」みたいなものとは違って、一通り---一話分なり全体なりを---観終わった後に、頭のなかで細部と細部との響き合いが起こり、通時的な物語の展開とはまた別の、超時間的な関係性が浮かび上がってきて、それがとてもきれいで、面白い形をしている、ということ。この、構造的な美しさがもっとも際立っているのが『獣になれない私たち』だと思う。)