2021-04-06

●『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム』(細田守)を改めて観て、過去のぼくはこの作品に対して不当に冷淡だったかもしれないと反省した。かっちり構築されていて演出もキレキレでとても良い作品だった。『おジャ魔女どれみ ドッカ~ン!』の原田知世回もいまさらながら観て、良かった。それで思ったのだが(いちファンの勝手な妄想だが)、現在の、オリジナルの呪いにかかってしまっているような細田守が、改めて原作ものというか企画ものにチャレンジすることで仕切り直しするということは不可能なのだろうか。たとえば、橋本カツヨ名義で「新劇場版 シン・ウテナ」をやるとか。脚本や総監督は幾原邦彦に任せて、演出に専念するという形で。後ろ向きの企画にみえてしまうかもしれないが、「エヴァ」よりは「ウテナ」の方がアクチュアリティがあると思う。

(正直、予告映像を見る限りでは新作の『竜とそばかすの姫』も嫌な予感がする。そもそもタイトルからして「オリジナル劇場用アニメの呪い」の匂いがする。嫌な予感は外れて欲しいが…。)

●『ワンダーエッグ・プライオリティ』の四話と五話を観た。「さらざんまい」+「まどマギ」みたいな感じ。主要な登場人物が出そろって序盤は終了ということだろうか。おそらく五話は、今後さらにヘヴィーな展開の中盤へ突入する前の箸休めのような回なのだろう。作画と演出はとてもよいが、お話が、深刻な問題の表面だけを掬って寄せ集めたみたいで、なにも刺さってこないままするすると滑っていく(「深み」を感じないので考察を誘発しない)。嫌なもの見たさで観はじめたが、「嫌さ」にも届かない。ただ、わざわざ悪手にみえる手を打っておいて後でひっくり返そうという意図があるという可能性も、ないとはまだ言い切れない(内容が浅くて刺さらないからこそ、作画と演出の良さを無責任に楽しめるのだが)。