●とりあえず、今日することはこれで終わりとした後、風呂に入って、上がってから簡単なアテをちゃちゃっと作って、あとは寝るだけという状態で寝酒をする。この時に、たいてい、酒を呑んでいる番組(動画)か、なにかを作って食べている番組(動画)を、ネット配信で観る。この手の動画は沢山あるのだけど、良いと思えるものはとても少ない。だから、よい番組(動画)は何度も観る(そうやって脳を緩めないと上手く眠れない)。
最近よく観ているのは、「平成酒どころめぐり」と、「やまと尼寺 精進日記」で、どちらもU-NEXTで配信されている(「やまと尼寺…」はNHKオンデマンドで観られる)。
「平成酒どころめぐり」は、「古典酒場」という雑誌を編集していたという倉嶋紀和子という人がレポーターとなって、全国の酒蔵をめぐるという番組。まず、その地方の食べ物を食べ酒を呑んでから、酒蔵を見学し、杜氏や社長などの話を聞き、そしてそこでつくられた酒を試飲するという流れ。この番組の素晴らしさはレポーターの倉嶋さんという人にある。試飲した酒にかんするコメントがとても良いのだ。酒にかんする知識が豊富だということが基本としてまずある。加えて、丁寧できめ細かく、シンプルだが表現力があるコメントをする。まず、酒をつくっている人へのリスペクトがあり、グルメ的な上から目線には決してならず、しかもたんなるおべんちゃらではなく、酒をつくっている人たちが、そこにこそこだわっている(そここそを的確に指摘して欲しい)と思っているようなところを、的確についているということが、コメントを聞いた後の酒蔵側の人の反応で分かる。そして何よりすばらしいのは、この倉嶋さんという人が本当に酒が好きなのだということが画面からひしひしと伝わってくるところ。
ただ、この番組はかなり続いている(いた?)らしいのだが、U-NEXTでは、より抜かれた七回分しか配信されていない。この七回分を何度も繰り返し観ているのだが、ぜひ、シリーズのすべてを観られるようにして欲しいと思う。
「やまと尼寺 精進日記」は、奈良県の山奥にある尼寺で暮らしている、住職、副住職、そして寺の手伝いをしている女性の三人(と犬)が、山から採ってきたり、自分たちで育てていたり、人から贈られてきたりする、その時々の季節の食材を使って、料理をつくり、自分たちや近所に人たちと食べるところを撮影する、という番組。一月分が一回の放送にまとめられていて、(この番組は最近みつけたので、まだ最初の五回分しか観ていないが)、何年もつづいてるらしく、配信では、三十七回+スペシャル一回が観られる。
この番組のすばらしいところは、住職、副住職、手伝いの女性の三人がとても親しげで、ほとんど常に笑い合っていて、生活のすべてが(いかにも大変そうなところまで含めて)とにかく楽しそうにみえるというところ。一人一人のキャラが素晴らしくて、この三人のような関係性が成立するためには、人柄とか相性とかの問題もあって、誰でもが真似できるわけではなく、まさにこの三人だからこそ奇跡的に成立しているのだと感じられる(彼女たちは客に対してきわめてオープンだが、この三人の輪に割って入ることは誰にも出来ないのではないかと感じられる)。精進料理だから肉は食べないわけだけど、禁欲的というよりは、じっくり時間をかけて採集、計画、下ごしらえ、調理を行うところも、料理に加えられる(トンチ的な)工夫なども、あらゆることが豊かで贅沢にしか見えなくて、その生活は地上の楽園のようにさえみえる。勿論、画面に映らないところで困難や危うさも多々あるのだろうが、そうだとしても、観ていて、彼女たちの生活の充実がひたすらうらやましく思える。
(この番組が、どの程度「作られている」のかは気になるが。)