2022/04/02

●『ユリイカ』(青山真治)を改めて観たいけど、配信もないしDVDは高騰してるし(近所のレンタル店は全滅してしまったし)なあと思っていたら、地元の図書館にDVDが置かれていた。

20年ぶりくらいに観たと思うのだが、『ユリイカ』はほんとにすごいのだな、という感想だった。前にこれを観た時はまだ若かったし、反発とか反感のようなものの方が強く出てしまっていたと思うが(ゼロ年代批評みたいな文脈に、ぼく自身もすくなからず囚われていたのだとも思う)、20年後に改めて観ると圧倒されるし、確かにこれはすごいのだ。

(監督が亡くなるということでもなければ、この反発や反感は未だ解消されることなくつづいていたのだろうと思うと、人間の感情---つまり自分のことだが---は、なんてめんどくさいものなのだろうかと思う。)

(というか、まだまだずっと反感の対象でありつづけてくれると思っていた。あたりまえのことだが、いつまでもつづくと思った時間は、いつまでもはつづかないし、人はいつか死ぬのだ。)

『教科書にないッ』から『EM エンバーミング』まで8本の映画をつくってきて(そのうち『Helpless』と『冷たい血』以外の6本はおそらく自分の企画ではなく依頼仕事だと思われる)、今の自分にならばこれが出来るはずだという自信と確信があったのだろう。一つ一つの場面に自信がみなぎっている感じだ。生意気の盛りでもない限り、日本映画という環境でこんな企画は立てられなかっただろうし、実行もできなかっただろうとも思う。そこまで含めて(ある種のマチズモも含めて)、やっぱりすごいのだと、今ならば認められるのだが…。

(宮崎あおいは、終始、アホな子みたいに、演技などせずぼさっと突っ立っている。場違いなガキが、そのままでそこにいる感じ。杉田かおる安達祐実芦田愛菜のような、大人の期待に応えるように演技する子役とは真逆の位置にある。自分がなぜ、こんなところに連れてこられて、こんなことをさせられているのか分からないという、ぽかんとした子供の顔をずっとしている。勿論、それがとてもすばらしいのだが、でも、こんな子供をこんな映画に出させてよいものか、という気持ちにもなる。)