⚫︎趣味的に全く受け付けられないという人もいるかもしれないが、「マルドロールちゃんのうた」の最近の動画は凄すぎないだろうか。特に最新の動画が驚くべきものだと思う。「本の紹介」なのだが、前衛的な映像作品でもあり、新しい形の「批評」でもあり、「ひとつの生の形」の表現でもある。
複数の登場人物によって上演される批評。それによるチャンネルの複数化と、召喚される逸脱。批評はこれからはこういう形になっていくのではないかとも思われるが、しかしこれだと、テキストを書くのに比べて何倍も手間がかかるようになってしまうのだなあ、と。
(ぼくは、ボイロ界隈のことは何も知らないし、動画に出てくるキャラクターのことも全く知らないのだが、それらを知らなくてもとりあえずは問題なく見られます。)
(何よりまずこの速度感がぼくにとって大きな発見だった。朗読や読み上げられたテキストの内容を耳で読み取るのが苦手で、どうしても途中でぼけっとしてしまって聞き逃すことが多いのだけど、この速度感だと、集中力が持続するし、ギリギリ理解が追いつくので、とても頭に入ってきやすい。朗読が苦手というのは、プロの俳優のする過度に抑揚や感情を込めた朗読が苦手ということでもあって、この機械的でフラットな早口は、ぼくにとってはすごく入ってきやすい感じだということもある。)
(下のリンクの、一つ目の動画はともかく、二つ目の動画は激しく観る人を選ぶと思うので注意してください。性的にエグい表現が苦手な人は、まず一つ目の動画で様子をみた方がいいと思います。二つ目の動画こそが傑作なのですが…。)
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琴葉姉妹と読むフェリシア・ミラー・フランク『機械仕掛けの歌姫 19世紀フランスにおける女性・声・人造性』 - YouTube