2023/10/11

⚫︎涼しくなってもまだ素麺がおいしい。麺を「すする」という行為は、明らかに口唇期的な欲動を刺激する行為で、麺が唇や舌、口蓋や喉に触れ、勢いをもって擦れるとき、そして食道を降りていくときの触覚的刺激の感覚が味以上に重要で、それを性的というのは言い過ぎとしても、確かに「はしたない」ところのある感覚なのだと思う。小麦の麺のもちもちした触感も嫌いではないが、どちらかというと、ややハードな感触で、すすると同時に口の中にふわっと蕎麦の実の香りが広がる蕎麦の方がより快楽が深いように思うが、素麺の「細さ」による、すすったときの舌や喉、口蓋へのタッチの繊細な柔らかさの感覚にも、独自の質感がある。

(たいそうな言い方だが、スーパーで買える安い素麺の話だ。)