2024/05/06

⚫︎なんとか警察みたいなことは極力言いたくないのだが、フランク・ステラはミニマル・アートでもないし抽象表現主義でもない。これはたんなるレッテル貼りではなく、けっこう重要なことだ。抽象表現主義以降の画家であり、かつ、非ミニマリズムの画家で、その微妙な立ち位置こそがステラの美術史的な意味だ。本当にピンポイントで、そこでそれをやるしかないというところで「それ」をやった(「それ」を発明した)。そういう意味で、他に似た画家はいない。グーリーンバーグはステラを評価しなかったが、マイケル・フリードは高く評価した。その意味でも微妙であり、その微妙さこそが命でもある。

(ぼくはすごく好きだ。「ある時期までは」という限定が必要だが、唯一無二の「色感」を持つ画家だと思う。美術史的な立ち位置がどうこうということとは別に、ぼくにとってはその側面でとても重要な画家だ。)

後年の、あのタガの外れた、なんと言っていいかわからない巨大なレリーフ群については、それとは全く別の方向からの検討が必要だろう。「検討したい」という気持ちにはなかなかならないが。