ある日、風邪をひく

明け方、寒くて、身震いで目が醒めた。気付いたら、身体は冷えきっていて、首すじから背中にかけて、身体の芯からくるような重たい震えがはしっていた。夢のなかでは、このツーンと芯から伝わる震えが、肉を金属とか紙とかで鋭くスパッと切ってしまった時の、痛みより前にくる、あのゾゾッとした嫌な感じ(肉の切り口から金属の肌触りを感じるような、と言うか、舌で鋭い刃先をなめるような恐怖と鉄の味の混ざったような嫌な感じ)に変換されていて、夢では右腕の肘から下のところを、その同じ場所を、何度も何度もくり返し鋭い刃物で切られていたように気がする。切られても、嫌な感じだけ残してすぐに傷は消えるから、何度もその同じ場所を切られて、嫌な感じが幾重にも重なって肩凝りのように蓄積されるみたいな感じ。嫌な震え、嫌な目覚め。