あついあついあつい

蒸し暑い、というのはこういうことを言うのだろう。いや、暑さはたいしたことはないのだが。冷房の効いた室内から外へ出たとたんに(もう、自動ドアがザーッと音をたてて開いたとたんに)、ねっとりとした細かい水滴が身体じゅうに貼り付いて、あらゆる毛穴を塞いでしまうような陽気。気のせいか、風景も、空気中に漂う細かい水滴に覆われて、薄皮一枚纏ったように空ろで、微かにゆらーっと揺らいでいるように見えてしまう。こんな陽気のせいか、内蔵の調子が悪い。あっさりしたものしか食べていないのに、ひどく胸やけがする。身体が水分をほしがっているのに、胃がうけつけない。無理矢理水を飲む。胃のなかで水分がぐるるるるっと音をたてている。