あついあついあつい

鋪装された道路を外れて土の上を歩くと、土中や雑草にたっぷりと含まれている生暖かい水分が空中に放出されているのが蒸発して足元からじわじわと立ち登ってきて、さらに湿気が増す。それと同時にむっとくる強い草いきれアスファルトのような照り返しはないが、水分が地面の近くで重く淀んでいる。小鳥の群れが狂ったように鳴きわめきながら1本の木へと降りてくる。擦り切れるようなかん高い声でピーピーわめきたてている。12時過ぎに、光化学スモッグ注意報がハツレイされたという放送が流される。気のせいか目が痒くて、涙がちになっている。空気の粒がやや濁ってジャリジャリと粗く擦れるような感じがする。ドローイングで使用するための長い木の枝を2本拾う。《「光化学スモッグ」-自動車の排気ガスなどに含まれる炭化水素などが、大気中の強い紫外線によって光化学反応を起こし、その結果生成された物質(オキシダント)によるスモッグ。強いときには目やのどに刺激を与える。(旺文社・国語辞典)》夜になると湿気は随分とおさまり、やや涼し気な風も出る。草いきれの名残りが、抹茶のように香って流れる。