あついあついあつい

晴れてはいるが、空は濁ったような、ブルーグレーみたいな色。芝生のまわりに生えている桂の木に、上半身裸の造園業者の人がホースで水をやっている。ホースの先から放出された水が、きれいに一本の線になって宙にのび、強い光を浴びていて、やや離れた場所から見ると、弧を描いて地面に落ちる水が、大きな獲物でしなった釣り竿みたいにも見える。芝生の上に散らされた長い長いホースが、黄緑色に拡がる平面上にくねくねと描かれた真っ青な線みたく、くっきり鮮やかに浮かび上がっている。

眩しい照り返し、手で触れてみると熱いほどの金属のガードレール、街路樹の葉は枯れかけていて黄色どころか赤く焼けただれたようになっている。坂道を上ってゆく。額に汗が流れる。午前中は蝉の声が聞こえなくて静かだ。

駐車場の脇のサルスベリの木に、毒々しいほど鮮やかな花が咲いていた。(確かこの花は、秋まで咲きづづけているのだった。)駐車場の東側と西側とに、大した距離なく二本生えているサルスベリだけど、花の色が微妙に違っていて、一本はドギツイほどに人工的なピンクの花で、もう一本はぎらぎらした感じの明るい赤紫の花をつけているのだった。