08/02/10

●『the EYE』(パン兄弟)のDVDを借りてきて観たのだけど、途中でやめてしまった。これはぼくが今、「映画を観る感じ」の状態ではないから、こらえ性がなくなっているからかも知れないけど。『ゴーストハウス』のDVDが出てて、そっちを借りようと思ったのだけど、比べてみたら『the EYE』の方が面白そうだと思ったのだけど、ぼくには駄目だった。
最初、タイトルの部分や、病院で主人公の隣のベッドの女の子が丸坊主だったりするところで、あっ、これは面白いのかも、と思ったのだが、既に分かり切っていることの描写をしつこく何度もやり過ぎるので、飽きてしまうのだった。(このしつこさは「親切さ」でもあって、日本のホラー映画はもっと洗練されている分、不親切だと言えるのだろうけど、ぼくにはその親切さがまどろっこしく感じられてしまった。観客は既に充分に分かっているのに、登場人物はいつまでも分からないという風に、同じ描写を何度も押して行くというのは、ドリフのコントで観客が「志村、後ろ、後ろ」とか言って楽しむみたいなものなのだろうか。)お話としては、上手く撮れば凄く面白くなりそうなのに。というか、無茶苦茶、ぼく好みのお話なのだけど。
あと、この監督の撮り方だと空間がどうなってるのかよく分からなくて、最初はその分からなさが、視覚を取り戻したばかりの主人公の混乱と響き合っていて面白くも思えたのだけど、空間がよく分からないと、主人公だけに何かが見えていて、他の人には見えていないということの表現が、スマートに出来ないのだった。(ぼくは「そこ」こそが観たいのに。というか、「そこ」の説明がくどいので嫌になってしまったのだろう。きっと、ぼくはどこかで、ホラー映画は「空間」だと思い込んでいるフシがあるので、空間の扱いの雑なホラーは嫌になってしまうのだろう。)ドアの覗き穴みたいな小道具も、もっとスマートに使えないのかなあ、とか思ってしまった。(最初の約30分しか観てなくて、これから面白くなる可能性もあるけど。)
●ここまで書いてきて、もう一回観たら面白いんじゃないかという気持ちに、だんだんなってきてしまった。
●テレビをつけたら「ブラックバラエティ」という番組をやっていて、中居正広プロ野球選手の形態模写をやっていて、それがすごいツボにはまって、爆笑しながら観ていた。モノマネが面白いのは、たんに似ているということだけでなく、目の前でやられていることと、埋もれてしまっている記憶とがふいに共振して、それが掘り起こされる瞬間が面白いのだなあと思った。だから、たとえそっくりであったとしても、掛布とか江川とか、そんなに忘れていない、いかにもモノマネされやすい選手のはそれほど面白くなくて、レオン・リースローイングの形とか、大豊のバットを構える前の仕種とか、落合の立ち方とか、王貞治の(一本足ではなく)バットを握る前の仕種と握り方とか、そういう微妙に忘れている(意識から落ちている)ところをくすぐられると、それをきっかけに一気に記憶が蘇って来て、そうそうそれだよ、という感じになるのだった。(でもこういうのって、ふいに、たまたま観たから面白いのであって、改めてもう一度やってもらっても、そんなには面白くないのかも。)
ぼくは今ではプロ野球をほとんど観ないし、いつ頃から観なくなったのかも思い出せないくらいなのだけど、かつてはけっこう熱心に(テレビでたけど)観ていたんだなあということも思い出すのだった。