●用事があって外に出たついでに、午前中の、日ががんがん照っている川原を一時間くらい歩く。さすがに人はあまりいない。光は強いし、頭はくらくらするしで、木々の緑が異様に輝いて見えた。濃い緑と、赤い花、白い花。どうみても鍛えているアスリートとは思えない若い女性が一人、この人は大丈夫なんだろうかというくらいふらふらとジョギングしていた。
●午後は、次に作品論を書くことになった作家の(書く作品とは別の)小説を、建物の二階にある喫茶店で読む。冷房は作動しているのだが、ガラス一枚隔てた外からの熱気がじわっと染みこんできて冷気と混じってそれを押しのけてさえいる窓際の席で、七月の夜に、青山周辺の、ビルの三階にあるベトナム料理屋のベランダの席で飲み食いしながら、つい一時間前に、二股だか三股だかかけられていた男と別れてきたという話をしている小説の場面を読んでいたら、ビールが飲みたくて仕方なくなった(ビールは、この小説で飲まれているというより、その前に読んでいた小説で、黒目がちの坊主頭の男が飲んでいたのだが)。
実はそんなに暇ではなく、いろいろとやるべき用事がたて込んではいるのだが、まだ4時過ぎの夕方も浅い時間で今日はオフにすることにして、ビール(250ミリリットル缶六本セット)を買って帰った。ビールは好きなのだが、部屋で飲むビールは何故かあまり美味しくなくて、部屋ではあまりビールは飲まないのだが、今日はビールしか考えられなかった。本当はチャーハンを食べたかったのだが(小説では、パイナップル入りのチャーハンがおいしいと言って、何杯もおかわりしていた)、チャーハンをつくるために必要なものがウチにはないので(フライパンもサラダ油もないし、塩はあるけど胡椒はない、というかそもそも、米があったかどうかもあやしい)、コンビニで油っぽい感じのおむすびを買って、皿にあけてバラして代用品として、それを食べながら、ビールを飲んだ。缶から直接飲むビールはやっぱりいまいちだったけど、最近あんまり米を食べてなかったので、チャーハンもどき(おむすび崩れ)は美味しかった。
暑い日の夕方、まだ明るいうちからだらだらしているのは、とても気持ちがいい。ビールはすぐになくなってしまった。