●横浜の急な坂スタジオに、岡田利規と中野成樹の対談(「戯曲って何ですか?〜岡田利規と中野成樹の場合〜)を聞きに行く。この二人が、このテーマについて話すなら、絶対に聞きたいと思っていた。年末の押し詰まった時期のせいなのか、お客さんの数はそんなに多くない感じだったのだけど、話はとても面白かった。二人が友人関係であったり、お客が少ないこじんまりとした場であったりしたこともあったのだろうが、なんとなく内輪な空気で、時にぐたぐたになったり、時にあきらかに話が噛み合ってなかったりしつつ、基本的にまったりしたモードのなかで、しかし最低限の緊張が常に保たれ、とても突っ込んだ話が成立していたように思う。というか、突っ込んだ話というのは、このような空気でしかなされないんじゃないかと思った。ぼくはどうしても、討論とかシンポジウムとかいう(バトル)形式に馴染めないというか、それを信用できないところがあるので。中野さんの、「カーテンコール好きで、カーテンコールの時に一番昂揚する」(今まで作品に奉仕していた俳優の、「実はこんな人がやってたんです」という素が一瞬あらわれるから)という半分ネタのような話が、ぼくにはとても興味深かった。中野さんのつくる作品の、フィクションの微妙な感触を、この話はとても的確に表現しているように思われた。
12月はいろいろなことがあったけど、神村恵カンパニーと、岡田、中野対談が観られたことは本当によかった。とても幸運だった。