●夢。ぼくは、映画を観ている観客であるのと同時に、その映画の大勢いる出演者(エキストラ)の一人であるようだ。映画は時間を扱ったSFで、同じ時間が微妙な差異をもって複数回繰り返される。過去と現在の交錯する隙間から何かを強奪しようという話であるようだった。その映画は七十年代に製作されたもので、一応「名作とされている」。観客でありエキストラでもあるぼくは、その映画を退屈で冗長なものだと感じている。かなり長い夢の断片。
薄暗い半地下の体育館のような広いスペースに大勢の人物が集められている。荷物を、ある場所から別の場所へと運び出すために待機させられている。その場所でも物語は進行しているのだが、映画に退屈しているぼくはそれを無視して、高いところにあって全開している窓の外をずっと見ている。おそろしく良い天気で、真っ青な空と鉄条網とが見え、鉄条網にひっかかっている黄色いビニールテープが風で揺れている。窓の外の光景があまりに強烈なので、今、自分が映画としてそれを観ているのか、実際にそこにいるのか分からなくなる。それはつまり、夢のなかの設定では、その光景が、反復されている過去なのか、その設定の外にある現在なのか分からなくなる、ということでもあった。隣にいる人(エキストラなのか、観客なのか)に、あの窓の外って現実だっけ、と尋ねると、映画だよ、何度も繰り返してるだろ、と答えた。
もう一つの場面。こちらでは、ぼくは映画の中に入り込んでいる。金属でできた細長いものを肩で担いで坂道を登っている。同じようにものを運んでいる人がぼくの前にも後ろにもずっと続いている。道の途中に大きな岩が埋め込まれていて、その窪みに水たまりができている。覗き込むと、水面に真っ青な空と雲が映っていて、大きな鳥がそこをすーっと飛んで横切った。その時ぼくは、空に向かって落下する、と思った。