六本木ヒルズの、Media Ambition Tokyo 2014に、渋谷慶一郎+池上高志「filmachine」を体験しに行った。正直、音でけえ、光まぶしい、というレベルで驚いて圧倒されて終わってしまった。あまりにも光が強いと眼をつむってもあまり意味がないということを知った。仕切り直して、覚悟を決めてからもう一度チャレンジしたい。
●52階からの夜景はすごかった。東京は夜になっても薄明るくてあまり暗くならないから(まだ六時半くらいだったせいかもしれないが)、いわゆるネオンがまたたく美しい夜景みたいな感じではなく、うんと遠くまで細部がけっこうクリアーに見えていて、ただ昼間より彩度が失われて無機質になっただけみたいな感じで、それによって逆に風景に不思議な質感がたちあがってきて、空からの光ではなく自ら発光している感じが不気味なくらいクールでもあって、遠くにあるはずのものがやけに生々しく近いように感じられ(遠くにあるものの生々しさがすごい、遠くの方の道路で道が混んでいるなか一台のバイクのライトの光がすーっと通り抜けてゆく感じが手に取るように見えたりして、おおっと思う)、そうかと思うとすぐ真下にあるビルの窓から漏れる光のなかに動くものが見えたりして、みっしりと立ち並ぶ建物や道路をはしる車など見えるものすべてがやけに「近い」感じで一様に頭のなかに侵入してくるみたいで、なんか妙に興奮してしまった。六本木ヒルズという場所がすっかり好きになってしまった。
●その後、両国のアートトレイスで松浦寿夫の連続レクチャー。ここで語られていたサブライムと美のちがい、感情移入、没入、境界の無さ(の暗示)等の問題は、ぼくの関心としてはフレームの問題と密接に絡んでくるもので、それこそ、(昨日の日記に書いた)さわひらきの作品がレベルの異なるフレームの多重性において「境界のなさ」を実現させようとしているということは、サブライムでも美でもないもの、感情移入と抽象という対比ではとらえられないものなのではないか、と思ったりしつつ、聞いていた。
(ぼくの、「六本木ヒルズの夜景」体験も、サブライムというのとは違うように思う。)