●お知らせ。10月27日に発売される「ユリイカ」11月号(特集・森博嗣)に、「スカイ・クロラ」シリーズについてのテキスト(不死と死の間の「個」と「性」)が掲載されます。
http://www.seidosha.co.jp/index.php?9784791702794
実は、「スカイ・クロラ」シリーズについて書いて欲しいと依頼を受けるまで、「スカイ・クロラ」シリーズの一冊も、さらに森博嗣の本の一冊も読んだことはありませんでした。ただ、押井守監督のアニメ版『スカイ・クロラ』は観ていたし、けっこう好きでした。
森博嗣という作家に特に思い入れがあるというわけではないので、作品に寄り添って読み解いてゆくという感じではなく、強引に自分の興味の方に引きつけて縦横無尽に書く、みたいなスタイルを一度やってみたいなと思っていたのですが、シリーズ六冊を全部読んだ結果、結局は、作品を細かく読み込んでゆくという方向になりました。
(アニメ版『スカイ・クロラ』に対する一般的な評価の低さについて、「いくらなんでもそれはないだろう」という気持ちがずっとわだかまっていたということはあります。作中に出てくる「キルドレ」という存在を「現代の若者の置かれた状況を表現するもの」として読んで、それを批判するみたいな風潮があって、そのような、作品から貧しい図式を取り出して、自分が取り出した図式の貧しさを批判しているような批判に対して、この作品が「けっこう好き」な者としてムッとしていたので、それよりは多少はマシなものを書いて示したかった、ということはあります。とはいえ、「ユリイカ」に書いたのは押井守のアニメ『スカイ・クロラ』についてのものではなく、あくまで森博嗣の小説「スカイ・クロラ」シリーズについてのものですが。)
●アニメ版『スカイ・クロラ』の感想は、下のリンク先で。
http://d.hatena.ne.jp/furuyatoshihiro/20100204
●今日は、九百字の原稿を書くのに、昼くらいからはじめて、夜中の四時過ぎまでかかってしまった。新聞の美術評は、(1)短くて字数制限が厳しく、(2)展示を観ていない人、美術に詳しくない人に対しても分かり易くなければならなくて、(3)その制約のなかで出来る限り正確であろうとし、そしてそれらすべての制約のなかで、(4)できるかぎり面白いものにしたい。ここで、(4)だけが「自分基準」なので、(4)はなんとしても譲れない。さらに、掲載日が決まっていて、その掲載日の後しばらくは「開催中」である展覧会から良いと思える展示を探し出さなければいけない(他の評者と重複してもいけない)。そうなると、もうどうしたらいいのか分からなくなる。いつも、なんとかしてひねり出す感じ。