●「サイエンスゼロ」でハイスピードカメラの特集をやっていた。以下、番組内容のたんなるメモです。
最初に、マイブリッジの、走る馬の連続写真の話が出てきて、これが6秒で12コマ、1秒あたり2コマ撮影できたことになる。これで明らかになったのが走る馬の脚のはこびで、4本の脚のすべてが宙に浮いている瞬間があることが分かった。番組では1800年代の終わりと言っていたが、これが1872年のことだ。
で、最新のハイスピードカメラでは、1兆分の1秒の単位で撮影ができる。1兆分の1秒では、光でさえ0.3ミリしか進まない。これによって撮影されたのが、結晶の表面を熱が波として伝播してゆく様子だった。この超ハイスピードカメラによって、いままではビフォアとアフターの状態しかわからなかった化学反応の中間のプロセスを知ることができるようになる、と。1872年の2分の1秒から、144年で1兆分の1秒にまで高速化して、馬のはこびから化学反応のプロセスにまで、人間の知覚の解像度があがったことになる。
カメラがデジタル化して、物理的な機械式シャッターから、センサーのオン・オフをシャッターとすることになって、カメラのハイスピード化が実現された。ただ、通常、センサーからメモリまでのデータ転送に100分の1秒かかるので、そのままだと1秒に100コマしか撮れない。そこで、転送の途中の経路で随時データを記憶させることにして、撮影の高速化が実現された。91年には、1秒に4500コマ撮ることの出来る、初のデジタルハイスピードカメラが生まれた。このカメラでは、走っている新幹線を外から撮影しても、車内にいる一人一人の表情が分かる。
現在市販されているもので最も高速で撮影が可能なカメラは、最大で1秒あたり100万コマ撮影ができる。例えば、グラスを落として割れる時の、ひびの入る様子は、秒あたり3万枚程度速度で撮影できる。
大学の研究室のレベルでは、秒あたり1600万コマ撮影できるカメラが実現されている。例えば、秒あたり400万コマの撮影では、放電現象の時に、太い光の他に、肉眼では見えない網目状の細い光が走る様が撮影できる。ただ、高速撮影には常に感度との関係の問題があり、より速く撮影するためには、より強い光を当てなければならなくなり、その光によって撮影対象に影響が出てしまう。
そこで、レーザー光を使って、レーザー光それ自体をフィルムであり、センサーであるように使うカメラが造られた。このSTEAMカメラでは、秒あたり1億コマの撮影ができる。例えば、血液1ミリリットル中には約60億の細胞があるが、血液を、細胞を一つ一つ通すくらいの細い管を通して循環させる装置を使って撮影すると、60億の細胞すべてを10分で撮影出来てしまう。それにより、60億個の細胞のなかにたった10個程度含まれるがん細胞を発見することも可能になる。
このSTEAMカメラを改良したSTAMPというカメラでは、秒あたり1兆コマの速度で撮影ができる。はじめの部分で書いた通り、これにより化学反応の過程すら撮影可能となる。ただ、現時点では、秒あたり1兆コマのスピードでは、一度に6コマしか撮影ができない。今後、これを100コマ程度まで増やす予定だ、と。