●これは昨日のことだけど、玄関を開けたら外は真っ白だった。昔、八ミリフィルムが現像から戻ってきて、出来上がりのチェックのために映写してみる時、約三分二十秒のフィルムの最後に数コマ空白のフィルムがあって、そこにさしかかるとイメージがふわっと消えてスクリーン全体が白くなって終わる。そういう感じで、玄関を開けると真っ白になった。眼の露出調整がすぐに働いて像を結んだが、しかしその像も全体に白く薄かった。
空全体に霧状に万遍なく薄く広がった雲に日の光が乱反射して空が真っ白く輝いていて、アパート前の砂利敷き道もその先のアスファルト道もその白く均等な光を反射して真っ白だった。白い光が全体にまわって、家々の庭木の緑や屋根の褐色もかき消すいきおいだった。
今日は一転して、空の青と雲の白とがくっきりと分かれていた。もくもくとして切り立つように分厚く巨大な雲が空の多くの面積を占め、低い位置にどーんと存在していた。光はコントラストをもって射していた。