●『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』を観た。最初は、傑作「パトレイバー2」の続きになっていることでテンションが上がるのだけど、最後まで観ると、あれっ、「パト2」のほぼそのまんまのリメイクだよねえ(というか、九十年代の押井守のほぼそのままの反復だよねえ)、という感じで拍子抜けしてしまった。普通に面白くは観られるのだけど、あの「パト2」をわざわざ出してくるのだから(オリジナルの南雲さんも出てくるし)と、どうしたって期待が過剰になってしまう。過去の作品に対するなにかしらの批評性とか、読み直しとか、あるいは現在だからこそのアイデアの追加とか、そういうものがあるようには思えなかった。伝統の継承という新たなテーマもあるにはあるけど、「良き伝統の継承」と台詞で言っているだけだしなあ、と。
パト2」では、柘植という明確な思想をもったカリスマ的な存在としてテロリストがいたのに対し、「首都決戦」では、テロリストの側も特車二課の側も、オリジナルではなく、ある種幽霊的な反復者であり、テロの中心にいる灰原という人物も、思想も何もなく、ただ能力が高くて、テロをゲームとして楽しんでいるだけの人物だという違いはある。オリジナルが消失したあとの反復が、空虚な幽霊的反復であるのか、そうではなく「良き伝統の継承」としてあるのか、みたいな主題があることは分かる(これは、この新たな実写版シリーズを通した主題でもあろう)。でも、それらのことが、具体的にエピソードや物語やアイデアや表現性などに絡んでなくて、図式的に読めばそう読めるよね、というところに留まってしまった感じ。そもそも、その主題自体がイマドキそんなに面白いというほどのものでもないのではないか。
灰原の存在が謎のままで終わったし、なんとなく含みの多い物語なので、まだ続きがあって、この先に一ひねり、二ひねりある、というのなら、今後の展開に期待できるプロローグではあるけど。