●『レスト―夫人』(三島芳治)というマンガを、勧められて借りっぱなしで、とても面白くて折々に何度も読み返しているのだけど、このマンガの面白さについてどう言葉にすればよいのか、何度読んでもよく分からない。
高校生が演劇をする話なのだけど、『櫻の園』みたいなやつじゃなくて、もっと抽象的で抑制的で、他に似ているものが見つからないのだけど、無理やりに似ていない似ているものを探すとすれば、『廃校奇譚』+淡白な『少女革命ウテナ』ということになるのか、あるいはシュールで幾何学的な『響け! ユーフォニアム』ということになるのか、というような、「学校(≒世界)」と「フィクション(物語、演じること、記述すること、つくること)」と「人(人と人)」というものの絡まり合いを、非常にユニークな形で表現しているとでも言えばいいのか…。小さくてささやかでシンプルな作品なのだけど、奇跡的に完成し過ぎてしまっていて、その小さな器のなかにとても大きくて捉えきれないものが畳み込まれているような感じ。
●2014年に出た本なのだが、検索して調べても、この三島芳治という人の商業的な出版物はこれ一冊だけみたいだ。