●新聞のための900字程度の原稿を書くのに、やたらと時間がかかってしまう。三日くらい平気でかかったりする。アートの知識を前提としない人に向けて、ごく短い分量で、「読める」文章として、アートについて多少なりとも何か意味のあることを書くというのが、とても難しい。
たとえば、「インタラクション」と書いてしまえば一発で済むところを、「インタラクションは通じないかもしれないなあ」と思い、しかしそこを説明しようとすると字数が完全にオーバーしてしまうということがあると、どう書けばいいのかと悩み始めて、時間はどんどん過ぎ去っていく。さんざん時間をかけて考えた末、インタラクションについて書くことはあきらめて仕切り直し、ということになったりもする。一文、一文、こんな感じで書き足していく。
そして、時間をかけてなんとか書けたとしても、かけた時間に見合ったクオリティが保証されるわけでもない。締切もあるので、際限なく書き直すこともできない。原稿を提出して、しばらく敗北感に打ちひしがれることもある。