2019-06-23

●『ぼくはきっとやさしい』。町屋良平をはじめて読んだ。

スケールが小さいのかスケールが大きいのか分からない、スケールレスな小説だった。スケールレスという感じは、隙間の多さからくるものと思われる。そしてそのためなのか、「無限」について考える時に襲われるような種類の不安に、読んでいてしばしば襲われた(無意識のうちに前提として依存しているものを、無意識のままでふっといなされて、根本的な何かが揺らぐ、図がその前提としている地が、しばしば揺らぐ、という感じ)。それはおそらく、この小説がおもしろいということなのだと思う。

(分析欲をかきたてられるような小説でもあるが、しばらくは、一読した感触を不定形のままで留めておきたい感じだ。)