●『東京のバスガール』(堀禎一)をDVDで観た。すばらしかった。『弁当屋の人妻』は、どこかヌーヴェルヴァーグ的な感触があるが、『東京のバスガール』は日本映画クラシックみたいな風格がある。
それにしても、堀禎一の作品にちらちら見え隠れする「不在の子供(存在するよりも前に消えてしまったかのような子供の存在感)」はとても気になる。『東京のバスガール』でも、吉岡睦雄の幼くして亡くなった妹(兄の吉岡睦雄でさえその存在をほとんど記憶していない)が着ていた浴衣や、その浴衣からつくられた布巾が、複雑に絡み合う大人たちの関係を超越的な視点から(時空の外から)見守っているかのようだし、室内の場面で唐突に聞こえてくる「子供たちが遊び、はしゃぐ声」は、屋外から聞こえてくるというよりも、その場に響いている幽霊(存在するよりも前に消えてしまった者たち)の声のようだ。
(存在するより前に消えてしまったかのような子供たちの声は、『草叢 KUSAMURA』や『夏の娘たち ひめごと』でも、印象的に響いている。)
●『東京のバスガール』を前に観た時の感想。2017年。
https://furuyatoshihiro.hatenablog.com/entry/20170715
●堀禎一のピンク映画は、いまのところDMM動画の配信で全部観られる(このような形での公開が、堀さん自身の望む形であるかどうかは分からないが)。
(『夏の娘たち ひめごと』、『若い肌の火照り(東京のバスガール)』、『マル秘配達人 おんな届けます(弁当屋の人妻)』『不倫団地 かなしいイロやねん(草叢 KUSAMURA)』『団地妻 ダブル失神(わ・れ・め)』)