2021-10-27

●すっかりアニメから関心が離れてしまっているけど、これは期待できそう。磯光雄、『電脳コイル』以来15年ぶりの原作・脚本・監督作『地球外少年少女』。

https://chikyugai.com/#introduction

小島信夫の「馬」には、主人公の妻トキ子が《年甲斐もなくヘップバーン型の髪をしている》という描写が何度かあらわれる。調べてみたら、「馬」が書かれたのと同じ年、1954年の春に、オードリー・ヘップバーン主演の『ローマの休日』と『麗しのサブリナ』が日本公開され、その夏に、日本の女性の間でヘップバーンカットが流行ったのだという。

《フロントは 毛先を揃えた短いストレートバングにし、サイドの毛はバックのほうにぴったりと流し、バックはえり足いっぱいにカットするスタイル。オードリーヘップバーンの髪型を真似た事からヘップバーンカットと呼ばれる。》「ヘップバーンカット(1950年代)」(髪型の歴史)

http://history-of-hair.blogspot.com/2017/02/1950.html

1954年というと、戦争が終わってから9年しか経っていない。その時点でもう、女性たちはオードリー・ヘップバーンの髪型を真似し、《僕》と《トキ子》は二軒目の家を建てようとしている(という、小説が書かれる)。急激に復興し、文化や風俗も大きく変わっていったのだなあと思った。

(追記。ただ、《僕の家にとつじょとして馬が住みこむという発案をトキ子がしたとしても、年甲斐もなくヘップバーン型の髪をしている以上何をするかも知れず、咎めることができるものかしら》という風に書かれていることから、当時の男性---すくなくとも小島信夫---には、やや奇異な髪型のように感じられていたのかもしれない。)

しかしその一方で、《僕の家の高台から焼跡をこえておよそ百米ばかりはなれた道を、今日も駄馬が通って行く姿がふと目に入った時(…)》などと書かれていて、9年経ってもまだ「焼け跡」が残っているということも窺われる。

●「馬」の《僕》の家は、《戦前に朝鮮軍司令官の住宅が所せまく建って》いたところに建っている。これも、ちょっと不思議に思って調べてみたら、「朝鮮軍」というのは、大日本帝国陸軍の軍の一つ、朝鮮を管轄する部署で、朝鮮人によって組織された軍隊ではない、ということだった。