●(昨日からのつづき)「顔」が問題になるとき、いつも必ず想起される(この作品における)マティスの顔の描写。顔でないもののなかから今にも「顔」がたちあがってくるかのような、あるいは、顔が「顔」であることが今にも崩れて散ってしてしまいそうな感じ。一つの顔でありながら複数の顔へと分裂してしまいそうで、それでいて、「顔」としてのある一つの表情を湛えている。こんな風に「顔」を描く画家はマティス以外に知らない、というか、マティスであっても、このように顔を描くことは稀だ。
一筆書きで描かれた顔、つづき。