2022/06/03

●『攻殻機動隊SAC_2045』のシーズン2の四話から六話を観た。四話では江崎プリンの来歴が語られ、五話ではトグサの過去の記憶(しかしこれは偽の記憶かもしれない)が語られた後、六話で本格的に物語が動き出す(四話で最後で、タチコマたちが江崎の疑似人格をつくってそのなかにAI(1A84)を仕込むというのはあからさまに伏線だろう)。トグサは、五話での過去の記憶から、六話での現実の東京まで、ずっと追手から走って逃げ続けるはめになる。ポストヒューマンと九課の面々との間でなされた超ハイテクアクション(二話)とは対比的な、ベタにフィジカルなアクションがトグサの担当なのだろう。

難民たちを(難民とは限らないようだが、無名の人々を)蜂起させて独立国をうち建てようとするポストヒューマン(カリスマ)という話は、過去の神山版攻殻の「Individual Eleven」を思い起こさせるし、原子力潜水艦があれば国と同等に渡り合えるというのはあからさまに『沈黙の艦隊』だし、なんとなく『東のエデン』風味もある(そもそも『東のエデン』は「Individual Eleven」をマイルドにして語り直している感じがあるが)。アイデアのレベルで驚くべきこと、あるいは目新しいことは特にないが、様々なガジェットやアイデアを高い密度で組み合わせて、一定以上に刺激的で説得力のある(今日的で新鮮な)ポリティカルな世界・物語がつくってあるのは確かなので(アイデアの斬新さではなく、ネタの濃さとスノッブな感じで)、楽しく観られる。

(割と「人の心のなか」に入っていく傾向があるというのが、シーズン1から引き続く、「_2045」と旧神山版と大きく異なるところだろうか。トグサが夢から覚めた時に電車のなかにいる、というのは「エヴァ」のパロディか。)

一つ心配になってきたのは、シーズン2の全十二話で、話がちゃんと完結するのだろうかということで、もしかするとまた、話の途中でぶった切られて、続きは数年後、とかにならないだろうか…。