2023/03/17

幽体離脱的(脱-肉的)没入、という言葉を思いついた。たとえばヴァーチャルな空間に入り込む時に考えられる段階として、まず一般期な(1)アバター=鏡像的身体を持って没入する、があり、次に、(2)このわたしのこの身体(の少なくとも幾分か)を持って没入する(たとえば小鷹さんのスライムハンドのような状態)、がある。だがそれ以外にも、(3)脱-肉化して「わたしの位置」だけが没入する(没入している様を外からみる)、があり得るのではないか。

ベッドに横たわる「わたし」を必死に治療している医師や看護師たちを、天井の辺りから見下ろしているかのように、「わたし」は確かにヴァーチャルな空間の中(そこ)にいるが、そこでの能動性は奪われていて、わたしは「わたしの外(ヴァーチャル時空)」に、ただ「わたしの位置」だけを発見する。

他者の身体のように、あるいは物のように、「わたし」がそこに「ある(没入している)」ことを、その外から発見する。受け取った手紙の差出人が自分であることを発見するかのように、自分の美しい顔(いま・ここ)の中に醜いアザ(外=わたし)を発見する『おろち』の女のように、「ここ(今)」ではない場所(時間)から「このわたし」が立ち上がるのその様をみる(みせられる)、というような。