2023/03/16

グレアム・ハーマン「The Missing Pieces of Derrida’s Voice and Phenomenon」を引き続きChatGPTを使って読んでいるのだが、けっこう読める。あきらかな誤訳や、文がちょっと変になる場合も多いが、前後の文脈を見ることでかなり気づけるし、脳内補正が可能な範囲だと思える(そのためにはある程度は背景知識が必要だから、全く未知の分野ではきついと思うが)。これなら、(すごく読みたいと思っている)ハーマンの『Art and Objects』を、翻訳を待たずに直接読めるのではないか。電子書籍で買えばコピペできるし、コピペさえできれば、外国語の本もChatGPTで読めるかもしれないというとても明るい希望が…。

(中学一年の二学期の段階ですでに英語の授業が苦痛だった超語学弱者であるぼくにとって、これはすごいことなのだ。こんな日があと二十年はやく来てくれていたらぼくの人生は変わっていたのではないか。)

(ハーマンの英語ならChatGPTでなんとか読めそうな感じだということで、たとえばエリー・デューリングのフランス語はどうなのか、とかはおそらくまた別の話で、やってみないと分からない。)

●まったくの素人考えだがChatGPTの「嘘つき癖」は、はやい段階でなんとかしとかないとマズいのではないかと心配になる。いまのところは、叱られたくない子供のつく他愛のない嘘、あるいは、地位を失いたくない政治家の見苦しい嘘のように、ミエミエに嘘と分かる嘘をつくが、そのうちに、人類のすべてを騙せてしまうような、人には決して嘘だと見抜けないような、すごく巧妙な嘘をつくようになったら、人類にとっては壊滅的にヤバいことになるのではないか。

吉本隆明の『心的現象論・本論』の廉価(新書)版が出ているのを知らなかった。四千円弱で、これなら買える値段だ。この長大な本を通してちゃんと読むかどうかは微妙だが、面白そうなところを拾い読みするくらいのことはしたい。『心的現象論・序説』は、何度挑戦してもよく分からなくて打ち砕かれるばかりだが。