巨大なアウトレットモールを真ん中で二つに割るようにして通る駅から大学まで伸びる道幅の広い歩道には、その道幅を三つに仕切るように二列に街路樹が植えられている。丸みを帯びたハート型の葉が果実が生るようにだらんと垂れる感じで密についているこの木が、アウトレットモールが出来る以前、駅から大学へ向かって右側が時折フリーマーケットやプロレスの興業が行われる以外に何も使われないだだっ広い空き地(こんなに広い何もない空き地をぼくはここ以外でみたことがない)で、左側がやたらとでかい駐輪場(と言うか、違法に放置されて撤去された自転車の集積場)だった頃から、ここに生えていたかどうかは、もう記憶にない。この木の丸っこい葉は、秋には黄緑から黄色へ、黄色から赤へとカラフルに変化し、しかも葉の一枚一枚の変化するスピードがことなっているので、まだあまり葉を落としてなくて豊かに木から垂れている様々な色の葉々の折り重なる様は、大きな塊として見ても多様なグラデーションとなり、また、微妙に変化してなかには一枚の葉がきれいに三色に分かれていたりもする一枚一枚を見ても鮮やかに発色していて、そこについているパチンコ玉くらいの黒に近い濃い紫の実も目に心地よいアクセントとなり、ディズニーランドを思わせると言われたりもするアウトレットモールの趣味が悪くどぎつい視覚的効果が溢れるただなか(もう既にクリスマスモードでもある)でさえ、強く人目を惹くものとなっている。実際、雲の少ない空に何本ものひこうき雲がはしっているような快晴だった今日などは、何人ものごついカメラを抱えた素人カメラマンの撮影対象となっていたのだった。この木の名前をずっと知らなかったのだが、「ナンキンハゼ」と書かれたプレートがついているのを、今日はじめて発見した。