●お知らせ。「映画芸術」No.424に、ボーダレス・クリティックという特集の一部として、ウェブ上での批評について、「映画をめぐる怠惰な日常」(http://d.hatena.ne.jp/molmot/)のモルモット吉田さんと対談した記事が載っています(対談というより、編集部によるインタビューという感じですが)。「映画芸術」は編集者が入れ替わったと聞いていたので、もう、ぼくとは縁が切れてしまったのだろうと思っていたので、新しい、若い編集者から声がかかった時は、ちょっと驚きました。しかも、その編集者は、ぼくが以前「映芸」に寄稿していたことをまったく知らなかったのでした。
リニューアルした「映画芸術」は、この雑誌をこういう風にしてゆきたいという編集者の思いが全体を貫いて感じられるもので、それを特に強く感じるのは、「特集」や「連載」の部分よりむしろ、そのどちらでもない中間の部分でした。監督のインタビューと、その作品のレビューとが、同時に並べられていて、しかもその部分が分量としてたっぷりとボリュームがある。(黒沢清、阪本順治、堀禎一、井口昇、新藤兼人へのインタビューがあり、それぞれの作品のレビューがその後にある。特に黒沢清の『トウキョウソナタ』は、たっぷりとしたインタビューの後に、三本ものレビューが載っている。)それぞれのインタビューやレビューは、面白かったり面白くなかったりするのですが、つくり手側の言葉だけでもなく、批評だけでもなく、その両方が拮抗した形で並立される(そしてそれが、つくり手相互が、互いの作品を批評しあったりもする、という、立場を限定しない、自由な位置取りでなされる)というのが、おそらくこの雑誌の目指すところなのだろうと思いました。