●『熱海の捜査官』を観たのをきっかけに、また『ツイン・ピークス』を観直している。まだ最後までは行ってないけど、ローラの事件が一応の解決をみた後、急速にぐたぐたになる。ここまでぐだぐだだったっけ、と思うくらいに。なんで、三分の一くらいまだ残っているところで事件を解決させてしまうのか分からない。でも、それこそが面白い気がする。
『ツイン・ピークス』の面白さは、けっきょく登場人物たちの面白さなのだと思った。たんに、突飛なキャラクターが面白いというのではなく、人物たちがリアルに感じられるということだ。リアルっていうのは、こういう人が実際にもいるよね、というような「あるあるネタ」じゃなくて、「リアルに感じられる」からリアルなのだ。それは多分、(そんな奴は決して存在しない、としても)人間を感じさせる厚みと密度が各登場人物にある、ということだと思う(そこに「人」を感じるという時の感じ方というのは、それがキャラクターであろうと実在する人であろうと、基本的にはかわらないと思う)。リアルは、外的なものとの対照関係によって保障されるのではなくて創造されるのだ。
登場人物たちが面白いから、ローラ事件が収束して話の求心力がなくなってぐたぐたになっても、かなり退屈なところもありつつ、なお面白いのだと思う(ジェームズが旅立って、旅先で悪い女に騙されて、みたいなエピソードなどまったく必要ない(面白くない)と思うのだが、でもこの作品では、物語の流れよりも、それぞれの人物が、今、何をしているのか、を、ちゃんと押さえておくことが重要なのだ)。
あと、『ツイン・ピークス』では、そのダークな作風にもかかわらず、悪人より善人の方が(というか、人物のダークな側面よりも「ボケ」的側面の方が)より魅力的だというのも面白い。