●『中二病でも恋がしたい!』は、『シュタインズゲート』のつづきでもあるのかなあと思った。『シュタインズ…』のオカベとマキセのペアが、『中二病…』では性別が入れ替わって、タカナシとトガシへと転生している、というような。世界線を移動しても他の世界線での記憶を保持しつづけるオカベが、(高校入学という境界線を越えても)今もなお中二病でありつづけるタカナシとなり、他の世界線での記憶を夢のようにあやふやにしか持たないマキセが、中二病を過去のものとして封印した(しかしそれを捨てきれない)トガシとなっている。二人の「縁」は、オカベ・タカナシにとっては現在までつづく連続的な過去であるもの、マキセ・トガシにとっては不連続な過去(現実の外へと押し出され、切り離されてしまった記憶)であるものによって、つながっている。「この世界線=この現実」にいる者にとっては、オカベやタカナシの記憶は「現実の外」の出来事でしかない。マキセ・トガシは「この世界」に主軸を置きつつも、「世界の外」へのアクセスが可能な者である。だからこのペアは、半ば共通し、半ば相容れない。しかしそうであることによって、このペアは協働することによって「この世界」と「その外」との配分を変化させ得る。つまり、『中二病…』は、『シュタインズ…』のOVA(25話)から、設定としてつづいているのではなく、主題としてつづいている、その後の二人の話としても考えられる。
だとするなら、タカナシの以前からの友人であるデコモリはオカベの右腕であるダル(あるいは、ダル+フェイリス、ダルはオカベの古い友人であり、フェイリスはオカベと「同じ設定」を共有する)の生まれ変わりで、自律系のツユリは、まゆしいの生まれ変わりということになる。そして、反中二病でありながらも同好会のメンバーとなるニブタニは、ラボメンと対立する立場にいながらもラボメンの一員へと巻き込まれるキリュウの位置にいるのだと、見立てることが出来るのではないか。このように形をかえて、思考は継続され、実践−実験も継続される。