●不眠というわけではないし、むしろ睡眠時間は長い方だが、規則的にちゃんと眠るのが難しい。長時間ぐっすり寝るのが難しく、一日のうちに、たとえば四時間と二時間、という風に、夜と昼との二回に分けて寝ることも多い。
子供の頃から眠るのが下手で、よく寝損なう。特に寝入りばなに起こされると駄目で、いまにも眠りに入ろうかというその時に物音か何かで起こされてしまうと、そのまま一晩ほとんど眠れなくなってしまったりする。
「自分は寝るのが下手でよく寝損なう」という意識が強くあるので、寝ようと意識すると、どうしても過剰に身構えてしまって、かえって眠れなくなる。できるならば、寝ようとは思っていなかったのに、いつの間にか寝入ってしまっていた、という感じで眠りに入るのが望ましい。だから「寝ようとする」時、できるだけそれを意識しないような状況をつくろうとする。
まず、灯りは消さない。灯りを消すという行為それ自体が、あきらかに「眠りのための準備」であり、それによって眠ろうとする意識を顕在化してしまうから。おそらく、ここ数十年の間、灯りを消して寝たことは数えるくらいしかないと思う。そして、YouTubeの動画とか音楽とかを流しっぱなしにしておく(音楽よりも、抑揚の少ないしゃべり声が流れている方がいいみたいだ)。望ましい眠り方は、本を読んだり、動画を観たりしていて、知らないうちに寝てしまったという状態だから、できるだけそれに近い感じの雰囲気をつくることで眠ろうとする。
もっとも問題なのは、布団に入るという行為だ。質の良い眠りを得るためにはちゃんと布団で寝る必要がある。しかし、布団に入るというその行為それ自体が、どうしたって「今から眠ろうとしている」という意識を惹起させる。できるだけ、なんとなくだらっと寝転ぶ、みたいな感じで布団に入る。
(実際、布団を敷かずに、床にごろっと直接まるまって寝ていることもよくある。そういう方が眠りやすいし---昼寝のような場合---そういう眠り方の方が心地よい。ただ、それだと長時間は眠っていられない。)
目をつむった後も、眠ろうとするのではなく、映像(静止画ではなく、動いている映像)をできるだけ具体的、詳細、高精細にイメージしようとする。上手くいくと、そこでイメージした映像が、シームレスで夢に繋がっていって、眠りに入ることができる。