●東工大の講義、14回分すべて終わった。講義の途中で、期末レポートとは別の「講義で取り上げた作品でもっとも興味を惹かれたものを一つあげて、その理由を書いてください」という中間の小課題を出したのだが、学生に圧倒的に人気があったのがビオイ=カサーレスの「パウリーナの思い出に」だという結果がわりと意外だった。
その時点で取り上げていた他の作家は、ルゴーネス(「火の雨」)、ボルヘス(「円環の廃墟」「バベルの図書館」)、ホーソーン(「ウェイクフィールド」)、メルヴィル(「代書人バートルビー ウォールストリートの物語」)、カフカ(「審判」)、ウルフ(「灯台へ」)、ムージル(「トンカ」)。
期末レポートの課題は、基本的に小課題と同じで、しかし、その時よりもう一歩深く踏み込んで考えて書いてください、というものにした(選ぶ作品は、小課題と同じでも、違ってもよい)。小課題以降に取り上げた作家は、マルグリット・デュラス(「ロル・V・シュタインの歓喜」)、フアン・ルルフォ(「ペドロ・パラモ」)、ジェイン・ボウルズ(「ふたりの真面目な女性」)、保坂和志(「東京画」「明け方の猫」)、小島信夫(「馬」)、多和田葉子(「かかとを失くして」)、磯﨑憲一郎(「世紀の発見」)。
レポートを採点するというのははじめてで、どの程度大変なことなのかよく分かっていないのだが、学生がどの作品にどんな反応を示すのか、楽しみでもあり、怖いようでもある。