ある日

何という名前の木か知らないけど、オレンジ色から朱色にきれいに染まった葉っぱが落ちもせずに枝じゅうにびっしりとついていて、ちょうど向こう側の空に照っている太陽の光

がそれらの葉に射していて、葉の裏側からあたっている光が葉を通過してこちら側まで届き、オレンジ色や朱色がまるで発光しているようにキラキラして見えて、それらが濃く真っ青な空の背景によって、よりいっそう際立って輝くように見える。近くに寄って見ると、日の光に透かされて葉脈がくっきりと見えるそれらの葉の多くは、虫に食われてゲジゲジな形をしていた。

常緑樹の葉の多くが、その緑の勢いが衰え、黄色味に侵されぎみで脱色されたように見えるなか、建物の裏側に1本だけ生えているヤマモモの木だけは、真夏とかわらないような沢山の深緑色の葉を、鬱陶しいほどたわわに、重たく垂れ下がるほどにつけている。建物の表、レンガ敷きの道は、しんなりと炒めたタマネギのような色のイチョウの葉で埋まっている。