●眠っていながら、その寝ている状態とごく近い状態の夢を見ることがある。例えば、自分の部屋で眠っている時に、自分の部屋で眠ろうとしてもなかなか眠れない、という夢を見たりする。そんなときは、どちらにしろ深くは眠れていないのだから、途中何度も目が覚めているのかもしれなくて、だから、どこまでが夢としての「なかなか眠れない」で、どこからが実際の「なかなか眠れない」なのか分からなくなる。しかし、全く眠れていないわけではないらしいことは、「なかなか眠れない」という記憶のなかに、わずかに実際にはあり得ないはずの記憶のノイズが混じっていることから推測出来る。例えば、たった一人で寝ているはずなのに、誰かが近くにいたような感じが残っていたり、あるいは、自分の部屋であるはずなのに、微妙に空間の感触が違うところで「なかなか眠れない」と思っていたという記憶が残っていたりすると(寝ている場所と、玄関との距離や位置関係が、微妙に近かったり遠かったり、ズレていたりする)、その部分は、まあ、夢だったのだろうと分かり、多少は眠れていたのだと知ることが出来る。ただ、そういう眠りは、眠ることによってかえって疲れてしまうというような眠りで、目が覚めることで(どこから覚めているのか曖昧なのだが)、ちょっとホッと一息つくような感じもある。しかしそれでも、全く眠ることが出来ないのとでは、翌日のコンディションが随分と違うのだった。