●来月発売の雑誌に載る予定の作品論のゲラが届く。怖い予感は当たり、今書いている原稿の締め切りとゲラの戻しの期限がほぼ重なってしまった。とにかく、まず、原稿をちゃんと書き上げてしまわないと。ある作家の初期の二つの短編小説について書くつもりだったのだが、書き始めてみると、規定の枚数(20〜30枚)の倍くらいいってしまいそうだし、それを書ききる時間的、精神的余裕も今はないので、一つの短編に絞ることにした。今日、造形大学で中川邦彦さんの最終講義があるというお知らせを何人かの方からいただいていたのだが、聞きに行くのはちょっと無理っぽい状況。中川邦彦さんが「定年退職」という事実があまりピンとこない感じなのだが、考えてみればぼくが映画学の講義を受けていたのはもう二十年ちかくも前のことなのだった。夕方、現実逃避するかのように電車に乗って国分寺に行き、明日で終わってしまう利部志穂の展覧会をもう一度観た。会場で偶然、坂中亮太さんにお会いした。戻って、再び喫茶店で原稿。すぐ後ろの席から、咳と鼻水をすする音がずっと聞こえていて、しかもだんだんそれが酷くなってきている。今、風邪をうつされたらやばいなあと思っていた。トイレに行くときにちらっと見たら、おっさんが何か書類を出して仕事をしていて、当分は居座りそうな感じだし、マスクもしていないので、大事を取って、ぼくの方がその場から退散することにした。マックでつづきを、とも思ったのだが、マックは混んでいるみたいなのでやめて、部屋に戻ってつづきを書いた。あと一息、というところまでは行った。