●久々に『右側に気をつけろ』をビデオで観た。何度観てもびっくりする。音の方に主に注意がいって、ついつい画面を見るのがおろそかになる。字幕を追っている余裕が全然ない。
この前の『ゴダール・ソシアリスム』についての平倉圭さんのレクチャーに引っ張られ過ぎかもしれないけど(『ゴダール的方法』はまだ読み始めることさえできてないけど)、ある時期以降のゴダールは、映画館で観るより、設備の整ったホームシアターシステムのある自宅のAVルームのような場所で、高画質のディスクとかで、一人でひきこもって観る方がずっとダイレクトに伝わってくるんじゃないかという気がしてきた。まあ、ぼくは、古くてボロいテレビ、安物のヘッドフォン、擦り切れたVHSテープで観ているわけだけど。音も、映像も、広い空間で多くの人と共有されるようにはできていなくて、なるべく近い距離から、自分に向かってダイレクトにやってくるような状態で視聴する方が分かり易い気がする。尖ったものが、空間や人という膜を通ることによってやわらげられるより前に自分に届くという感じで。
とはいうものの、ボロいテレビより映画館の方が画質も音質も断然よいに決まっているのだから、家に高度なAVシステムがない限り、映画館に行って観た方が良いということになってしまうのだけど。