●『中二病でも恋がしたい!』11話。ロケーション設定の的確さとあいまった演出のクオリティに驚いた。京都アニメーションの作品は作画やビジュアルのクオリティはすごいけど、演出に関してはちょっと狙い過ぎだったりもたついていたりするというイメージがあったけど(でもこのイメージは「ハルヒ」の時のものだからずいぶん古いのだけど)、それが『氷菓』、『中二病…』ときてすごく洗練されてきているなあとは思っていたけど、この11話に関しては一部の隙もないくらいの感じ(絵コンテ・小川太一、演出・河浪栄作、とクレジットされていた)。
例えば、とても重要な、二度繰り返されるデコモリの妄想が不発に終わる場面(両方とも場面としてすばらしい)が、一度目は橋の上、二度目はホームと、横長の空間が並行に配置される同様の構造の空間で(そして、上手と下手が反転するように)行われていて、橋の上の歩道と手前の車道という配置が、二度目のホームと線路という並行的配置を予告している、とか。でも同様の空間構造は、デコモリの出てこない、トガシとタカナシの二人きりの川べりの場面でも、川沿いの歩道と手前の川という形で準備されてもいる。つまり、この並行する空間は、タカナシとデコモリの交わらなさである以上に(一見そのようにみえて)、実はトガシとタカナシの交わらなさをこそ示している、とか(とはいえ、デコモリのミョルニルハンマーはタカナシに触れることはないが、トガシの小指はかろうじてタカナシの小指に触れ得ていた、という点は異なっている、とか)。
あと、全体にとても短いインサートカットがすごく効いている、とか、場面の切り方が冴えている、とか。
展開的には、おそらく次の最終話で最高潮の盛り上がりにもってゆくための、前ふりとしての、最高潮の「負の」盛り上がりをつくっている感じで、それ自体はベタな定型パターンだと思うけど、でも、この作品はベタな展開こそが「攻めの展開」であるような作品だと思うので、これはこれでよいと思う。
●一方、『ロボティクス・ノーツ』は相変わらずゆるーい展開で、これがまたすばらしい。モノポールがいきなり空から降ってくる、とか。(『ツインピークス』+『げんしけん』)×理系ネタ、という感じ。