●萩原健一の追悼としてテレビで『傷だらけの天使』の第1話と最終話を放映していた。岸田今日子、岸田森、西村晃、金子信雄、真屋順子、下川辰平。出ている人の多くが既に亡くなっている(かつては皆、テレビで馴染み深かった)。
第1話に子役として坂上忍が出ているのが味わい深い。ぼくは坂上忍と同じ年齢なので、『数だらけの天使』の1話がつくられていた頃(74年)---つまり、このドラマに映し出されている背景が実在していた頃---に自分はあのガキと同じ位の年齢だったのだという、指標のような存在として観てしまう。
過去の映像は、「過去そのもの」が映っているだけでなく、その過去と連続的で、しかし、現に今こうである現在とは違う、そうはならなかった「別の現在」の可能性を強く想起させる。それは具体的な像として想起されるというより、可能性の感触としてあるものだ。あまり古すぎる映像からは感じられないが、七十年代くらいの映像からは、特に強くそれを感じる。
それは、映像にノスタルジーとは別の感情を付与する。