2024/01/17

⚫︎フィクションには、大きな意味が少なくとも二つあると思われる。一つは、未だ(あるいは、決して)顕在化しない、現実の潜在性を形づくり、表現すること。もう一つは、現実を、どのように受け入れるのか、あるいは、どのように受け入れないのか、ということの形を示すこと。前者が、前-現実的で、後者は後-現実的だと言える。だがこれらは、現実があまりに大きく動く時、現実があまりに強く作用する時には、どうしても前景から後退する感じになる。今はその時ではない、という感じになる。

今はその時ではない、としても、意味がなくなるわけではない。が、意味がなくなるわけではないが、今はその時ではない、となる。

とはいえ、どのみち、フィクションが背後で(あるいは潜在的に)働いていないと、現実を構成することができない。現実が大きく揺らいでいるその時、その背後で、必死になってそれに耐え得るようにフィクションを組み直している(組み直していざるをえない、組み直してみざるをえない)。